災害と二拠点居住

一時は一世を風靡したかのように見えた「ハビテーション」、 「二拠点居住」、「デュアルライフ」という新種の言葉。 都市と地方を行き来するというような意味で使われるようになった言葉で、ローカライズに携わる人たちが繰り広げてきたキーワードたちである(何か他人事のようないいぐさだが、僕もよく使うキーワードであります)。 どちらかというとスタイル化する前に耳に慣れしてきたことで、新しさに欠けて来た感が否めないこの言葉。 〝二拠点居住バブル〟は弾け、このまま風化していってしまうのではないだろうか....。 そう思ってしまうのには、先月あった台風15号とも深く関係していることがあるのです。


災害大国ニッポンにおいて最も大きな災害として残るあの災害。 忘れもしない3.11。 原発事故に加え、東北の海沿いの多くは津波にやられ、通常の地震被害以上の災害が襲ったかつてない程の大地震に日本中が揺れました。 あの当時、既に鴨川に住を構え生活をはじめていた僕は、災害とは違った側面でいままでに見たこともないような光景を見ることになる。 それともこれも一つの災害の形になるものなのか....。 あの日を境に、鴨川から多くの人が消えて行った。 その多くは、移住者たちでした。 地震による直接の被害があった場所だった訳ではないのに? むしろ、二次災害的なところの懸念に動いた人たちが多かったのが、街から人がいなくなった人たちです。


避難をすることを見下げている訳ではない。 むしろ移動する手段と、その行先がある人達はそうすべきで、正しい選択であったと思う。 そう頭では分かってるはずなのに、何故か心はざわざわとする。


昨晩サロンで聞いた実際の言葉は、痛く刺さった。 19号が来たらとにかく逃げて。 地元では15号の復旧もまだままならず、手が届いていない家もまだ沢山あるという。 でも私たちどこに逃げればいいというの? これが現実だということに、痛みを感じるのはそこで耐える人も、そこから逃げる人もきっと痛みは同じものなのだろう。 逃げられる場所を持つ。 逃げられる余力があるなら全力で逃げる。 これも一つの守り方なのだと、学ぶ。


一方で大好きな場所を守り、守るために何かしたい、貢献したいと思う気持ち。 これも大事に育てたい。 ハビテーションがただの言葉として流行りすたれるのではなく、スタイルとして定着するまでに実を結ぶものになることを強く望む。 少なくても昨日のサロンでは、そんな風に繋がりたいと思うよそ者たちが多くいることを肌で知るにはいい機会であったと思う。




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